大久野島、通称ラビットアイランドは、広島の沖、瀬戸内海に浮かぶ小さな島だ。今では楽園のように見える。フェリーを降りれば、何百羽もの人懐こいウサギが一斉に駆け寄ってくる。しかしこの島には暗い過去が隠されている。1929年から、大日本帝国陸軍はここで秘密裏に毒ガスを製造していた。あまりに秘密だったため、島は一部の地図から消されていたほどだ。6000人を超える人々が工場で働き、1945年の終戦までに数千トンの化学兵器がこの島から運び出された。
戦後、工場は解体され、1970年代に数羽のウサギが島に放たれた。天敵のいない島でウサギは増え続け、今日出会う人懐こい大群になった。廃墟は今も島のあちこちに残っている。かつての砲台跡や毒ガス工場の残骸が少しずつ朽ちていくが、その多くは危険すぎるとして立ち入りが禁じられている。これまで訪れた中で最も穏やかで、同時に最も陰惨な廃墟のひとつだ。