宮崎医院は、より穏やかな時代に取り残されたような、小さな田舎の診療所だ。伝統的な瓦屋根を持つ美しい古い木造建築で、庭はすっかり荒れてしまったが、門のそばには丁寧に仕立てられた松の木が今も番をしている。かつてここで医者が患者を診ていた。近所の人がみな名前を知っているような、そんな場所だ。
中に入ると、一生分の仕事の道具が今も静かに置かれたまま、埃と日の光の中でゆっくりと柔らかくなっていく。劇的なことは何もない。だからこそ私はこの場所が好きだ。声高に主張しない廃墟。ただ静かに、どんなにありふれた場所でもいつかは取り残されるのだと思い出させてくれる。