ホテルキャデラックハウスが開業したのは1985年4月、日本がイージーマネーに恋をし始めたまさにその瞬間だった。ヴィンテージ・キャデラックのギャラリーを核にしたリゾートホテルで、1階には自動車の展示室とレストラン、上階には客室とプールラウンジ、地下にはクラブラウンジがあった。コレクションは日本で最も有名な元プロ野球選手のものだったと言われている。10年のあいだ、バブルの財布を持った若い行楽客たちの華やかな遊び場だった。
やがてバブルがはじけ、ホテルは1996年頃に扉を閉じた。1999年の競売では、落札者がオウム真理教の関係者だと判明し、地元の人々が反対運動でこれを退けた。建物はそれ以来宙ぶらりんのままだ。キャデラックはとうの昔に消えた。残っているのは白い柱を持つ赤煉瓦のコロニアル風の外殻、朽ちていく赤絨毯の上の大階段、そして探索者たちが廃墟のあちこちに置いて撮る、赤いハートを抱えたテディベアだ。訪問は2021年12月。